プロジェクト

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アジア沖積平野立地型都市郊外における循環型社会を基調とした都市農村融合と戦略的土地利用計画

期間:2011年2月~2017年3月
資金:最先端・次世代、科研若手B、住友財団助成
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モンスーン・アジア都市は河川下流域の沖積平野に立地しており、後背地には水田が広く分布している。水田地帯は農道や用排水路など農業基盤の整備が進んでおり、地権者の意向で容易に農地が都市的土地利用に転用される。その結果、分断された小規模農地が都市外縁部に多く取り残された、都市農村混在地帯が出現する。残存農地では、小規模化に加えて、都市的用地に囲まれたことによる農業用水の汚染や廃棄物の流入、投機的思惑により、放棄化が進行する。アジア諸国の都市計画制度は、欧米近代都市計画の影響を大きく受けており、土地利用の「純化」を基本的目標に位置づけている。しかしゾーニング等の計画手段では、現在生じているこうした問題に対処できない。

一方で、アジア地域では歴史的にみても、都市に農地が混在することで都市住民は様々な効用を享受してきた。多くの地域で、集落と後背農地の間には、生物資源の循環を通じた相互依存の関係があった。都市と農地の「混在」こそ、アジア都市に現在発生している問題の要因でもあり、住環境改善の鍵ともなる。混在の効用を最大化し、生じる環境問題を最小化するような、都市農村融合戦略が求められる。

ところで、日本では、今後人口減少時代が本格的に到来すると見込まれ、細分化された都市近郊農地はさらなる放棄が進行し、低未利用地が増加することが想定される。一方、いまだに拡大が続くアジア各国の都市郊外では、都市農村土地利用の混在化が進行している。物理的に避けがたい土地利用混在という共通点を持ちながらも、都市農村間の着目すべき効用や機能は異なっている。

以上のような点をふまえ、本研究では、成長段階の異なるアジア各都市の郊外地域を対象とし、以下4点の課題に取り組んでいく。(1)都市郊外農地・緑地の空間分布を、その利用・所有形態も含め明らかにする。(2)有機性廃棄物(資源)の排出特性とフローを定量的に把握する。(3)都市郊外農地・緑地における生物資源(青果)生産量・搬出フローを明らかにする。(4)(1)~(3)の結果を空間解析により比較し、生物資源の需給バランス、資源循環効率を高めるために必要な現況土地利用および社会制度の改善点の指摘、資源循環をうながす新たな都市農村計画のシナリオ提示を行う。最終的には、各都市の事例研究を比較検証し、アジア都市郊外の都市農村計画論確立に向けた研究比較指標を抽出する。

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