低地大都市の地形改変定量・類型化:人新世のランドスケープ評価に挑む
地球研のISプロジェクトとして採択いただきました。感謝いたします。以下ひとまず申請書の概要を掲載します。修士時代から継続している研究の延長です。今後独自のウェブサイトも構築できればと思いますので、プロジェクトの展開に御期待下さい。
【研究概要】
モンスーンアジア大都市の多くが沖積平野に立地しており、土地開発には地形改変が必須である。地形改変には掘削元から開発地まで、土石移動が伴う。また、掘削跡地と開発地双方で新たなランドスケープが形成される。これまで当たり前すぎる土石資源は着目されず、定量化ツール・データも未整備であったため、地形改変の類型・定量化研究は進んでいない。本研究では、大陸・島弧という大地形別に事例都市を複数選定し、①詳細な地理情報を元に地形改変の体積、②現地調査により土石の移動距離、③地質情報から土石の比重を求め、④それらより地形改変による土石掘削・投入・移動重量を推定、エネルギー原単位量と積算することで、地形改変に伴うエネルギー負荷を算定する。さらには、⑤空間情報分析により地形改変のオンサイト・オフサイトで生じるランドスケープと生態系サービスを、グリーンインフラストラクチャーの観点から定性的なリストとしてとりまとめる。近年、地質新年代の人新世が真剣に議論されているが、本研究は地形改変による地球環境へのインパクトを地学的な第三の営力として捉え直すための予察的研究であり、アジア以外の都市群との比較も最終的に試行する。より中長期的には、これまで個別の土地開発・修復プロジェクト事例の記述列記に止まっていたランドスケープ研究が、国際的に議論される契機となることを目指す。