アジア各都市で都市廃棄物の発生量は増加の一途をたどっており、最終処分場の許容限界、不法投棄といった問題が顕在化しています。さらには、開発途上国の大都市ではインフォーマルセクターが廃棄物フローに大きく寄与しており、公式統計値に現出しない隠れた量を推定することは難題とされてきました。
一方、都市近郊農地は青果生産地として重要な位置を占めながら、単なる都市化予備地域と見なされることも多く、農産物の流通経路は詳細に空間投影されてきませんでした。なお悪いことに、その都市域との近接性により、不法投棄の主要な現場ともなっています。
アジア大都市縁辺部に特徴的な都市農村土地利用の混在は、上記のようなネガティブな側面のみ強調され、否定的にとらえられてきたように思います。しかしながら、例えば生物資源循環の観点からは、生活系ゴミの発生源である都市と、それらの肥料化還元先である農地の近接性が有利に働くことも想定されます。こうした点もふまえながら、まずは統計に表出しない発生原単位量の把握とインフォーマルフロー構造の解明を、フィールド調査を中心として実証的に進めます。最終的には、生物資源の効率的な循環を促進する土地利用混在規模・施設配置計画を勘案します。
キーワード:都市農村計画、土地利用混在、生物資源